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エアコンの設定温度は高いまま。
羽毛布団を片付けた俺の部屋。
「…………」
言ってしまった。
ああああ…言ってしまった。
「あの、鷹野、さん…」
少しの静寂の後、エレノアは反応に困ったように、言いにくそうに口を開いた。
「好きって何ですか?」
「…はへ?」
……生ぬるい空気は、ふっと消えてった。
「…実は私、お父様以外の人間と会ったことなくて…その…好き、という気持ちがよく分からないんです」
窓の外に抜けていった緊張感。
エレノアの言葉を聞き、理解し、考える少しの時間…沈黙が部屋を支配した。
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