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珍しく冷え込んだ夜。
エレノアは散歩に出たいと言い出した。
薄手のコートを、一枚羽織って。
街中を適当にぶらつき、月が綺麗だの今日は寒いだの…くだらない会話は途切れなかった。
「…鷹野さん、覚えてます?」
エレノアと出会った公園の前を通る時、彼女は少し落ち着いた声で聞いてきた。
「この公園で、私たちは初めて会ったんですよね」
いつもよりも不自然な笑顔。
本人は気付かれていないつもりなんだろうか。
楽しそうに弾みながら、あの日のベンチへと駆けていく。
「おい、ちょっと…」
急いで追いかけると、彼女はベンチを見つめて立ち尽くしていた。
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