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「隠し事、してないか?」
俺の方を向こうともしない彼女に、最近ずっと思っていた事を聞いてみる。
緩く吹いていた風が、エレノアの碧髪を揺らしていた。
「…やっぱり気付かれてました?ダメですね、私。本当に…ダメな……」
肩を震わせ、声を震わせ、泣くのを堪えるように彼女は小さく息を吐く。
「当たり前だろ。誰よりもエレノアの事、大事に…」
「やめてください!」
聞いたこともない、叫ぶような声。
彼女の肩に伸ばした手が、ビクリと止まった。
「分かっていたんです…初めから。貴方と離れなければならない日が、すぐに来ることを」
ゆっくりと振り向いた彼女の瞳には、やはり涙が溜まっていた。
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