アンチ童話集1⃣～人魚姫～

夏の夜

　オシアスが生まれて早十五年。
　オシアスは成人の時を迎えた。
　故に今日、オシアスは人魚の掟で成人の儀として、海から上半身以上を出して海上の様子を見なくてはならない。
　「オシアス、決して人間に見付からないようにね」
　心配そうにセルシェが言った。
　「大丈夫だよ、兄上」