7.ズレる思いとユレる想い

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 防刃性のあるアラミド繊維と、富士の涌き水を清めた霊水を染み込ませて造った繊維を使って編みこまれており、物理的な防御、霊的加護のどちらも一級品だ。  さらに黒のカーゴパンツには、ツグミから借りたベレッタがホルダーに刺さっている。  一見、何の変哲もなさそうなスニーカーにすら底に鉄板が挟まれていた。  ちなみにこれらの装備一式は直弥が優一の仕事を初めて手伝った(かなり不本意だったが)時の報酬として『特殊人材派遣公社』からぶんどったものでもある。 「確認するが、ナオヤが負けたら……」 「わかってるよ。包み隠さず聞かれたことに答える」 「約束だぞ?」 「ああ、約束だ」  その言葉を聞いて安心したのか、一度笑った次の瞬間キョウカの姿が掻き消えてしまう。
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