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今この瞬間は間違いなく直弥の視界にはキョウカが写り、思考もまたキョウカを考えて動いているだろう。
歪んだ感情だとわかっていても、キョウカの頬は人知れず緩んでいた。
「……………いつつ」
身体中の擦り傷と打ち身に直弥は顔をしかめながら、地面に着いた膝に力をこめる。
ホコリで周りがよく見えないが、キョウカが動いてないのは魔眼で確認できた。
今のうちに、と蹴りが直撃した左腕の状態を確認。
(折れてはいないけど……痺れて満足に動かないな)
咄嗟に跳んで威力をある程度受け流せたものの、木箱にぶち当たるは異能による追撃がくるはで散々だった。
それでもまだこうして動けるのはキョウカの力加減の絶妙さか――。
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