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しかしこのまま一方的にやられるのは情けない。
――ならば
キョウカの望み通り全力をだすのみ。
もとより視ることしか能が無いのだから。
「身体の不調なんて知ったことか!……あいつらを殺す時まで動けばいい」
そうして本来なら机上の空論、幻想ともいえる存在の名を冠する蒼が世界を視る。
直弥の左眼の瞳孔は、既に濁っていた。
「第二ラウンドと行こうか!」
弾けるように直弥は飛び出す。
「――ッ!?ようやくやる気を出したか?」
迎え撃つキョウカにも、その変貌した左眼は動揺を与えた。
(下手な遠慮は命取り……なら!)
キョウカの喉に向けて貫手〈ぬきて〉を打ち込む。
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