7.ズレる思いとユレる想い

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「そんなものでは私に傷一つつけられんぞ?」  腕を一閃、直撃する弾だけを落とす。  不適な笑みを浮かべるキョウカだが、しかし次の瞬間には驚愕に歪む。  右の二の腕と左足に一発ずつ銃弾が貫通したからだ。 「そんなものじゃ……なんだって?」  直弥はキョウカを真似るように不適な笑みを浮かべ、ベレッタを人差し指でくるくると器用に縦へ横へと回してみせる。 「なるほど……跳弾を利用したのか」 「真正面が無理なら搦手〈からめて〉から。常套手段だろ?」  わざと外した弾こそが本命、命中する弾はブラフという本来なら有り得ない選択。 「これが『ラプラスの魔眼』の力か」  そうなるべくして計算された弾丸の弾道。  これは想像を超えた厄介具合だと、キョウカは思わず苦笑いを作っていた。
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