7.ズレる思いとユレる想い

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「だがまぁ、こうでなくては」 「…勘弁してくれ」  ただでさえキョウカは桁外れの霊力を持っているというのに、その値がさらに上昇していくのを魔眼がしっかりと視せている。  ついでに言えばもう出血が止まりかけているのも。  圧倒的な力にスタミナ、回復力と化け物の中でも規格外の力を持つ存在、それこそが『鬼』  人が転化した姿だとも言われているが、直弥には到底信じられる話ではない。  人間の人としての器が、こうも変われるとは思えないからだ。 (泣き言を言っても、どうしようもないか)  半ば悟りのような気持ちにさえなってしまう。 「さてナオヤ」 「何?」 「全力は出さない。――が、本気でいく!」  瞬間、左眼に激痛が走る。
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