7.ズレる思いとユレる想い

21/41
前へ
/298ページ
次へ
 錆びた鉄柱の一つに当たることでやっと止まることができた。 「ハァ、ハァ、ハァ…………身体が、ついてこない」  確かにキョウカの動きはラプラスの魔眼によってわかっていた。わかっていたのだが……直弥の身体がついてこれない。  現実が未来に追い付く早さが異常なことに加え、リミットが外れた直弥の身体はもとより充分に癒えていなく、むしろ動きが悪くなってしまった。  加えて普段の倍近い魔眼の副作用たる頭痛が、直弥の行動を阻害する。 「ククク…ハハハハハハハハハハハッ!!ぎぶあっぷかナオヤ?」  異様なテンションになっているキョウカを視界に入れると、余計に頭痛を感じ顔をしかめる。  なんのスイッチが入ったのかしらないが、溢れ出す霊力に揺るぎない意思が莫大な数値となり、それが直弥の魔眼に負担を強いていた。  毛細血管が切れ血涙がツッと流れる程に。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6125人が本棚に入れています
本棚に追加