そして現在

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そして現在

『!』 なんだ? 視界がハッキリしない それに人の声がちらほら聞こえてくる 雪山では無いことは確かの様だが・・・ 『・・・お、目が覚めたか。』 男の声がする ぼんやりとだが体格の良い男だと解る 『おっと、まだ起き上がらない方がいい。 しばらく安静にしているんだ。』 『崖から落ちたんだろ? 下が雪で助かったな。 全身打撲に失神、 それに軽度の凍傷と、 まぁ全治数日ってところだろうな。』 『私としては、胸の打ち身より、体の背面の打撲の方が気になるが・・・。』 『まぁともかく、しばらくゆっくり休みたまえ。』 『食事は横に置いておくからな。 自分で食べられないなら手伝おうか?』 顔を思い切り横に振る 『ハッハッハッ!冗談だ。 しかし元気そうで何よりだ。 これで失礼するよ』 そう言って男は部屋を出た (オレはどれくらい眠っていたんだ? まぁともかく今は腹ごしらえだ) 目がだんだん光に慣れて来た 横を見ると小さな台の上に食事が用意されていた 『おにぎりに、それにみそ汁に漬物かぁ』 狩りに出掛ける時は味気ない焼いた肉を小さく刻んだ物しか食べないので 慣れ親しんだ味の美味さが身に染みる 『美味い、おにぎりの中身はマグロか! みそ汁は白味』 遠い故郷を思い出しながら頂く 『しかし、オレの故郷ロクシ村も寒い所だったが・・・ここも似た所だな』 窓から見える景色は白銀の園 故郷を出てかなりの距離を渡って来たハズだが こうも似た村に着くとは 『さてと、飯も食ったしさっきのオッサンに聞きたい事もある』 弾ける様にベッドを出てドアを抜けると 『おい!危ないぞ!』 『うお!』 大量の雪が屋根から落ちて来た 『大丈夫かぁ~?』 屋根の上にはスコップを片手に先ほどのオッサンが立っていた 『気を付けてくれよ。オッサン』 『ハンターならこのくらいはかわさなきゃな青年。』 オッサンは意地悪そうに笑いながら降りて来た 『聞きたい事があるって顔だな青年よ。』 お見通しの様だ 『改めて自己紹介といこうか。 オレの名前はジャック。 この村の元ハンターだ。 キミは?』 次は青年の番だ 『オレはアピクス。 ここから南にあるロクシ村からポッケ村の依頼をギルドから受けて派遣されて来た。 オレを雪山で助けてくれたのはジャックなのか?』 ジャックは得意気に胸を張り 『ああ、崖下で倒れているキミを見つけ出したのはこの私だ。 感謝してくれたまえよ』
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