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■あるクリアサ
まだROを始めてから1ヶ月か2ヶ月ほど、レベルも40になったかならないかくらいのシーフで、フェイヨンダンジョンへ行った時のことだった。
調子よく歩を進めて4Fにたどり着いたオレは、無謀にもソヒーに殴りかかった。
当然勝ち目もなく、仰向けになったまま、通り過ぎて行く二次職を見ては「強いなぁ、オレもいつかあぁなりたいなぁ」と思っていた。
そんなことを考えていると、まだ倒れたままのオレに近づいてくるアサシンがいた。
暗「どうした、大丈夫か?」
倒れたままのオレを見かねてか、話かけてきた。
盗「勢いで4Fまで来たのは良かったんだけど…この通りです」
暗「そうか…まだ無理だったか。でもいつかリベンジするんだ。」
盗「もちろん!」
確かこんな会話をして、アサシンは近くにいたソヒーを殴り始めた。
彼はクリアサだった。
当時の二次職の中でも花形だったアサシン。その中でも群を抜いて輝いていた"クリアサ"
オレはその鮮やかなクリティカルに憧れた。
黄色い吹き出しのようなものが上に重なってゆくのと同時に快音が鳴り響く。
倒し終えると、彼はエモーション一つ出して、フッと消えてしまった。
後にも先にも、彼と会ったのはこの時だけだった。
帰ってすぐに、クリアサについて調べたが、カードの価値があまりわからない自分でも、あまりにも遠すぎる存在であることは理解できた。
たった一時間ほどソルスケを狩って挫折する自分…しかし、「いつかオレもクリアサに」と、あのアサシンを忘れることはなかった。
あれから5年、一人の新しいクリアサは、今日も快音を響かせている。
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