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「さてーと。ヴァンは密教の戦闘方法について理解してるかなー?」
二人きりになると、大輝がヴァンに訊ねてきた。
「ある程度はな…さすがに真髄まではわかんねぇぞ?」
「分かってる範囲でいーから説明してみてよ」
言われてヴァンは、額に手を当て思い出しながらポツポツと呟く。
「確か梵語、サンスクリットによる肉体強化だったか……あと曼陀羅による世界観の統一」
「そうだね。梵語は基本、曼陀羅は世界の縮図みたいなもんだね。細かく言えば、仏の世界の地図や、仏の序列表みたいなものだけどね。でも、」
大輝はもったいぶって言葉を区切る。
「なんだよ」
「今回の破戒僧が得意とするのは体術なんだ」
「そりゃ、ヨーガってやつのことか?」
「よく知ってるねー、パチパチ」
大輝は感心しながらも話を続けた。
「ヒンドゥーっていう宗派にはヨーガには3段階あると言われてるんだ。その段階の始めは…」
その先を大輝が話そうとした時、異変は起きた。
「「なっ……!?」」
御社神宮が大きく揺れた。
地震といえば終わりそうなものだが、ここでは話が別である。
ここ、御社神宮は外部からのいかなる干渉も受け付けない結界が敷いてある。
それは洪水、雷、火災や飢饉など自然現象すら例外ではない。
だからここでは地震なんて起こるはずが無いのだ。
考えられるのは2つの可能性。
一つは術の劣化
しかし、この術は一度かければ術者が死ぬまで消えないものであるからこの可能性は消える。
つまり残る可能性は……
(結界に外部の者が強制干渉してきた場合……!!だが、この結界に無理矢理干渉するほどの強大な力だとすると…)
「どうやら、敵を過小評価しすぎたみたいだね…」
冷や汗を流しながら、大輝がそう呟いた次の瞬間、
「「!!」」
世界が捩れた
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