ｼﾝﾌｫﾆｱ～CRISIS WORLD～

第一章～親愛なる破戒僧～

「しかしあれだな、世間は色々と忙しいのに、何でここはこんなにも平凡なんだろうな」

畳に寝転がっているヴァンが退屈そうに言った。

ヴァンもセフィーロもフード付きの黒いコートと黒いズボンを着ている。

「ここは“表”から断絶されてるから“表”の影響は受けないの」

ヴァンの問いに答えたのは、白い上着に赤い袴という、いわゆる巫女装束に身を包んだ艶やかな黒髪のストレート、髪と同じ眼の色をした女性である。

御社　琴音

御社神宮の現当主である。

「んなこと分かってますよ。も少しユニークな答えを俺は期待してた訳で、そんな答えの見本みたいなのはいらないわけですよ！Do you understand?」

「んなっ！西洋語を使うな！ていうか、せっかく答えてあげたのにその態度は何なの！？」

「やめておけ、琴音。ヴァンは退屈だからお前をいじりたいだけだ」

ヴァンに親切心からの言葉を流され、半ギレの琴音をセフィーロがなだめた。