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「兄上…
どうか立派に先鋒をお勤めし
どうかご無事でお帰り下さい…」
“鬼武蔵”と異名をとった兄上ではあったが、
先鋒と言う事もあり、私はとても心配だった。
安土では連日軍議が開かれた。
日に何度も何度も早馬が戦況の報告に来る。
信長様はかなり気が立っている。
甲斐の地図を広げて、何度も進軍の指示を出す。
武田勝頼は相次ぐ敗戦と裏切りに遭い
逃亡を余儀なくされた。
武田一族の穴山梅雪が、信長様に寝返り、
遂には徳川家康様の道案内を始めたのだ。
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