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父上の葬儀から数日が過ぎた。
穏やかな日差しが差し、初秋の香りが漂い始めていたある日…
私はいつものように部屋で、父上から頂いた書物を読んでいた。
遠くで弟達の笑い声が聞こえる。
空には雲雀が飛び交っていた。
(ああ…難しい…この字は何と読むのであろう…)
(早く父上が帰って来ないであろうか?)
(戦は長引いているのだろうか…)
部屋の真ん中に大の字に転がって、天井を見つめる…
(父上は討ち死にされたのだ…
もう帰っては来られぬのだ…)
父上の葬儀さえまだ夢の中のようで、
現実を受け止めるには私はまだ幼すぎた。
“ダッダッダッ!!”
足音が近づいて来る。
少し早足で、大きな足音だ。
「父上っ!」
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