若草

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それからもその男は、忘れた頃にひょいと現れ 二言、三言話して帰って行った。     不思議とその男が来た時は、 いつも私と二人きりだった。     二人きりで空を見つめる一時が何とも言えず心地よく、 この時間がいつまでも続けば良いのに…とさえ思えた。           とても寡黙な男だった。        私は、家の者にも、その男について何ひとつ聞いた事などなかった。       その男がどこの誰なのか聞くのが何だか怖く、 聞いてしまえばこの一時がなくなってしまうように思えたからだ…      
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