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3月5日
私達は安土を出発した。
連日、次々と信忠様から武田の武将の首級が届く。
信長様は無表情にその首級を見つめる。
「晒しておけ!」
信長様のそのお言葉を聞くのは好きではない。
首級を見るのも嫌だった…
いつも目を背けていた…
“戦のない世界”を作る為に
どれだけの血が流れるのであろう…
どれだけの人の命が犠牲になり
命が断たれ…
どれだけの人の涙が流されるのであろう…
私は…
私達は…
罪深い…
無機質に人を殺める私達の罪は計り知れなく深いのだ…
そして…
それらの罪を一身に背負う覚悟の信長様が
私にはとても寂しい人に思えた。
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