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塀の向こうには松明に照らされた幟が無数に見えている。
桔梗の紋の幟が…
坊丸と力丸の叫び声が廊下に響き渡る。
「兄上っ!」
「兄上…お早く!」
「坊丸、力丸、よく聞くのです。
既に本能寺の周りは敵に囲まれています。」
不安気に坊丸と力丸が目を見合わせていた。
「兄上!
ここは私達が食い止めます!」
「お早く!
どうかお早く信長様の元へお急ぎ下さいませ!」
2人は震えるその手に刀を握りしめて蘭丸に背を向けた。
廊下の向こうからも、幾人かの家臣が駆けつけ来た。
蘭丸は弟達を見て深く頷いてから振り返り、
悲鳴にも似た叫び声をあげながら走って行った。
「信長様!
信長様ぁぁぁ…!」
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