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「君たちは……多分止めても無駄だろう。あの孤島に行くにはそれなりの覚悟が必要だ。
覚悟はあるかね?
覚悟が無ければ私は許可することはできない。」
「ええ。覚悟はあります。」
田中はなんの躊躇もなくそう言った。このような事件の話を聞いてここまで断言できるところを、普通の人間の目には尊敬に値する、勇敢な男と映るだろう。しかし私の目には無謀な異常者としか写らなかった。
彼の気持ちが分からないだけに、私は恐怖する他なかった。
「もちろん……覚悟はあります。未開拓の生態系を知るためですから。」
山本は若干怖じ気づいているようだ。
私はというと、おそらく山本と同じ、正直教授からストップをかけて欲しかったと思っていたのであろう。
大人気ない話、教授の話で山本以上に怖じ気づいてしまったからだ。
「木村、君は覚悟がないのか?」
しかし、ここで覚悟が無いとは言えない。
言えないのが私のダメなところであるのだ。
「ええ、あります。」
言ってしまった……。
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