孤島へ

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私が到着した頃には既に全員到着していた。 皆凄い荷物の量である。 「もうみんな居たのか。」 「まぁね。」 「田中なんてやる気満々さ。」 山本は笑いながら冗談混じりにそう言った。それを聞いていた田中は、彼の特徴である鋭い目つきで睨む。 「まぁまぁ、とりあえず港まで行こうよ。 駅前で話しててもらちが明かない。」 「そうだな。」 私は切符売り場の前で田中の後ろに並びつつ、少ない小銭を財布から取り出していた。 ここまでは普段と変わらぬいつもの光景であった。 冗談を言い、田中に睨まれビビる山本。それを見ながら笑う私。 何も違わない、普段の日常である。私はより一層、孤島に行きたくない、このままどこかに遊びに行きたいという気持ちに駆り立てられたのだった。
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