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「教授、なんですか?」
「君たちかね?孤島を調査するために明日出発する研究部員は。」
「はい。私と田中、そして山本で行ってきます。」
教授は黒縁の眼鏡をかけ、私が提出した書類に目を通している。
「なるほど……君たちは全員成績優秀だね。」
「どうも。」
「孤島の生態系の研究……なぜわざわざあの孤島を?」
「それは……」
「我々が訪れる孤島は、まだ人間の訪れた回数が少ないのはご存知ですね?」
その時私が話をしようとしたら、山本に遮られてしまった。
でしゃばりだから仕方がない。
いつもの事である。
「知ってるよ」
「人間が未開拓の地の生態系が知りたいのです」
「ならば……」
教授は眉間にシワを寄せ、辺りをはばかるかのように声を潜めながら言った。
「あの孤島で起こった事件にまでは、知らないようだね」
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