第1段-猫×アリス-

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「アリス、もう下に降りてもいいかい?」 「もう少しだからちょっと待ってて」 「……ボクらのアリス、君が望むなら」    今日は朝から、アリスが台所に篭って何かを作ってる。  僕には見せたくないらしい。  アリスに「台所周辺に近寄るな」と言われたボクは、大人しくアリスの部屋の前で、アリスに呼ばれるのをじっと待ってる。   「……これくらいかなぁ?  いやでもチェシャ猫だし、もう少し甘くした方が……」    リビングの扉が開いているため、時々聞こえてくるアリスの呟き。  ……アリスはボクの為に、もっと甘くなろうとしてるのかい?  今でももう、十分甘くて美味しいのに……       「よしっ、出来た! 片付けも完璧♪  ……チェシャ猫~? もう降りて来てもいいよ~」    あれから数時間、ようやくボクはアリスに呼ばれた。  その声を聞いて、ボクはゆっくりと階段を降りる。  そしてリビングに入ると、そこには満面の笑顔でボクを待つアリスの姿。   「アリス、今日は凄く嬉しそうだね」 「そりゃあ……今日は特別な日だからね」 「特別な日?」 「だって、今日は2月14日でしょ?」 「うん」 「だから、特別な日Vv」 「……??」    何も知らないボクは首を傾げる。  今日はアリスの誕生日でもなければ、他の誰かの誕生日でもない。  色々考えてみても、記念日らしいものは何も思い浮かばなかった。  
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