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「アリス、もう下に降りてもいいかい?」
「もう少しだからちょっと待ってて」
「……ボクらのアリス、君が望むなら」
今日は朝から、アリスが台所に篭って何かを作ってる。
僕には見せたくないらしい。
アリスに「台所周辺に近寄るな」と言われたボクは、大人しくアリスの部屋の前で、アリスに呼ばれるのをじっと待ってる。
「……これくらいかなぁ?
いやでもチェシャ猫だし、もう少し甘くした方が……」
リビングの扉が開いているため、時々聞こえてくるアリスの呟き。
……アリスはボクの為に、もっと甘くなろうとしてるのかい?
今でももう、十分甘くて美味しいのに……
「よしっ、出来た! 片付けも完璧♪
……チェシャ猫~? もう降りて来てもいいよ~」
あれから数時間、ようやくボクはアリスに呼ばれた。
その声を聞いて、ボクはゆっくりと階段を降りる。
そしてリビングに入ると、そこには満面の笑顔でボクを待つアリスの姿。
「アリス、今日は凄く嬉しそうだね」
「そりゃあ……今日は特別な日だからね」
「特別な日?」
「だって、今日は2月14日でしょ?」
「うん」
「だから、特別な日Vv」
「……??」
何も知らないボクは首を傾げる。
今日はアリスの誕生日でもなければ、他の誰かの誕生日でもない。
色々考えてみても、記念日らしいものは何も思い浮かばなかった。
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