第1段-猫×アリス-

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「チェシャ猫……もしかして、バレンタイン知らない?」 「バレン、タイン?」 「……やっぱり知らないか……;」    ボクの反応に少し落ち込んだように肩を落としたアリス。  小さな声で「まぁ、向こうにはバレンタインなんて無さそうだし……仕方ないかな」と呟いている。  やっぱり今日は何かの記念日らしい。   「……じゃあアリス、バレンタインは何をする日なんだい?」    誕生日にはプレゼントをあげるし、ヒナマツリにはキモノを着た人形を沢山飾る。  アリスが嬉しそうな日は、どれも普通と違う何かがある。  じゃあ、バレンタインは?     「バレンタインっていうのは……まぁ、なんて言ったらいいのかな;  いつもお世話になってる人達にお礼として……とか、その………好きな人、に……チョコやクッキーをプレゼントしたり……かな///」    少し赤くなってボクから目を逸らすアリス。  そんな仕草がとても可愛いと思った。   「チョコヤクッキー? それは美味しいのかい?」 「チョコヤクッキーじゃなくて、チョコとかクッキー。  私は甘くて好きだよ?」 「甘い……アリスよりもかい?」 「当たり前でしょ; ……まぁ、チェシャ猫からすればどうかはわからないけど。  それより……はい」 「??」    アリスが後ろに隠してた手を前に出すと、そこには小さな袋が一つあった。  中にはハート型で茶色いものが……多分10個位   「チョコ。一応……本命だから……///」 「ホンメイ」 「……感謝とかも勿論だけど……その………す、好きって事だよ///」    そう言って、袋をボクの方に差し出してくる。  ボクはそれを受け取って、暫く中を見てから袋を開ける。   「……今、食べてもいいのかい?」 「……うん………いいよ……///」    アリスの返事を確認してから、中から一つ摘まみ出して口へと運ぶ。
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