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「チェシャ猫……もしかして、バレンタイン知らない?」
「バレン、タイン?」
「……やっぱり知らないか……;」
ボクの反応に少し落ち込んだように肩を落としたアリス。
小さな声で「まぁ、向こうにはバレンタインなんて無さそうだし……仕方ないかな」と呟いている。
やっぱり今日は何かの記念日らしい。
「……じゃあアリス、バレンタインは何をする日なんだい?」
誕生日にはプレゼントをあげるし、ヒナマツリにはキモノを着た人形を沢山飾る。
アリスが嬉しそうな日は、どれも普通と違う何かがある。
じゃあ、バレンタインは?
「バレンタインっていうのは……まぁ、なんて言ったらいいのかな;
いつもお世話になってる人達にお礼として……とか、その………好きな人、に……チョコやクッキーをプレゼントしたり……かな///」
少し赤くなってボクから目を逸らすアリス。
そんな仕草がとても可愛いと思った。
「チョコヤクッキー? それは美味しいのかい?」
「チョコヤクッキーじゃなくて、チョコとかクッキー。
私は甘くて好きだよ?」
「甘い……アリスよりもかい?」
「当たり前でしょ; ……まぁ、チェシャ猫からすればどうかはわからないけど。
それより……はい」
「??」
アリスが後ろに隠してた手を前に出すと、そこには小さな袋が一つあった。
中にはハート型で茶色いものが……多分10個位
「チョコ。一応……本命だから……///」
「ホンメイ」
「……感謝とかも勿論だけど……その………す、好きって事だよ///」
そう言って、袋をボクの方に差し出してくる。
ボクはそれを受け取って、暫く中を見てから袋を開ける。
「……今、食べてもいいのかい?」
「……うん………いいよ……///」
アリスの返事を確認してから、中から一つ摘まみ出して口へと運ぶ。
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