1人が本棚に入れています
本棚に追加
気だるい朝
隣にいるはずの彼女は仕事で、自分を起こさないように気を使いながら家を出たのだろう。
テーブルの置き手紙には
『冷蔵庫にご飯作ってます。温めて食べてね❤』
…食べる気にはならなかった。
………数日前
「今回の仕事は―」
思い出したくもない。
依頼された今回の対象は彼女。
接触は偶然を装い、今の生活に至る。
愛はなかった。
夜の行為にも戸惑いはなかった。
仕事だったからだ。
献身的に尽くす彼女は、何故狙われるのかなんて考える必要はなく、虚しい期日だけがカレンダーを占領していく。
「明日…やるか…」
誰に言うでもなく呟いた言葉は部屋へ消えていく。
――夜
帰宅した彼女は、疲れた体を休める事もなく夕飯を作っている。
最後の夕食
なんて事ない会話、[だった]。
「あのね…恨まないで聞いてほしいの…」
[会話]は繋がれる。
「あなたが食べてる[それ]には致死量の毒が入ってる。」
男は驚くでもなく、彼女の話を聞いていた。
最初のコメントを投稿しよう!