バス停

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「はっ はぁ はぁ。」 結城 真央 ユウキ マオ、17歳。 今、走ってます。 ゴールデンレトリバーと散歩中のおばさんや、通勤途中のお父さん達が振り向くのも気にせず、いつものバス停にだけ意識を向ける。 普段から運動をしない真央は、痛むお腹を片手で押さえながら角を曲がった。 バス停の前にちらほら立ち尽くす人の姿が見え、真央は足を止めた。 バスはまだ来ていないらしい。 一度カバンを抱えなおした真央は深く深呼吸をしてバス停へと向かった。 ちらほらした人影の中、一際目立つその人を見つけると、真央は頬を緩めた。 濃紺のブレザーに身を包むその人は、真央と同じクラスの高野 仁 タカノ ジン。 すっと通った鼻筋といい、適度に筋肉のついた肢体といい、切れ長で鋭い瞳といい彼は女子からの人気が高い。 本気で彼を想っている女子も何人もいると聞く。 真央もまた、その中の一人だ。
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