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亮一はクルリと幸樹に振り返ってそう言う。 「…いつもの事ながら、すごいな。亮一の小悪魔テクは」 幸樹は教室の現状を見て、心底感心した。 これこそが、樋村亮一最大の武器。 コンプレックスである、小柄で華奢な身体と背の低さ、そして美少女顔。 それを逆に生かして、亮一は生徒を手玉に取っている。 今のように、人に頼み事をする時に亮一はよくこの手を使う。 理由は一つ。何より一番効果があるからだ。 「そう言えば、あの保健医の小田切ってさ」 ふと聞こえた名前に、亮一は反応を見せた。 「小田切先生がどうしたの…?」
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