3434人が本棚に入れています
本棚に追加
亮一はクルリと幸樹に振り返ってそう言う。
「…いつもの事ながら、すごいな。亮一の小悪魔テクは」
幸樹は教室の現状を見て、心底感心した。
これこそが、樋村亮一最大の武器。
コンプレックスである、小柄で華奢な身体と背の低さ、そして美少女顔。
それを逆に生かして、亮一は生徒を手玉に取っている。
今のように、人に頼み事をする時に亮一はよくこの手を使う。
理由は一つ。何より一番効果があるからだ。
「そう言えば、あの保健医の小田切ってさ」
ふと聞こえた名前に、亮一は反応を見せた。
「小田切先生がどうしたの…?」
最初のコメントを投稿しよう!