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今まで新任教師の話題に興味を持たなかった亮一の態度を意外に思いつつ、生徒は続けた。
「あぁ。小田切ってさ、医師免許持ってるらしいぜ」
「じゃあなんで学校の養護教諭なんてやってんだ?医者になればいいじゃん」
切り出された台詞に対して、当然の疑問が浮かび上がる。
「それが、なりたくてもなれない理由があるんだ」
その言葉に、亮一以外の生徒も耳を寄せる。
「女アレルギーなんだって」
「「「女…アレルギー……?」」」
その場に居た生徒全員が、声を揃えて首を傾げた。
「だから、ナースが居る病院では働けないんだってよ」
その言葉を聞き、その場にいた人々は深々と頷いた。
「あー。だから、わざわざ男子校の保健医になったって訳か」
「うわぁ。男として最悪なアレルギーだな」
生徒達は口々に智に対しての哀れみの言葉を呟く。
そんな中、亮一だけが何かを考え込むように俯いた。
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