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その後向かった職員室でも同じ事だった。 無理矢理奪い取ったクラス名簿にも、どの記録にも『藤堂 光流』の文字はなく、果てはクラス写真の光流の居たはずの位置に彼は居ない。 居た痕跡が無いのだ。 不安が募る、彼は俺の頭の中にしか存在しなかった、なんざ…映画でもあるまいし。 現に、その居もしない藤堂光流をジンもカズシも探している。 アイツは居た、そして何処かに居るはずだ。思い直してから、彼の消えたクラス写真を手に学校を後にした。 ポケットの中で携帯が、騒音を響かせながら震えた。 メールはカズシで、最悪に最悪を積み重ねていくような内容だった。 from カズシ no title 元中の奴見つけた ヒカちゃんの住所聞いたから駅で落ち合お 関係あるか分かんないけど…ヒカちゃんの親父が一ヶ月ぐらい前に死んでるらしい 正確な日付は分からない内容だが、確かに音信不通になる前には死んでいた計算だ。 何でもない顔をしながら…アイツは何を思って過ごしていたのか。 そして、何を思って消えたのだろうか。
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