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辿り着いた駅にはカズシとジン、そして見知らぬ小柄な少女が立っていた。
高校生にしては小柄なカズシが隣に寄り添い、柄にもなく慰めている風体である。
少女は遠目に見ても分かるほど、震えていた。
「遅いよ!」
いち早く吾大を見つけたジンは、居たたまれずにしきりに周囲を見渡していたのが効を奏したようだ。
吾大の目にはただ、周りの他人が三人を認め何事かと目をくれた後、無関心を装い赤の他人に戻る様が滑稽に映るだけだった。
主の機嫌を伺う大型犬の風体で吾大を伺うジンは周囲の関心と無関心の交差に気付いているのだろう。
「ああ、悪いな」
軽くだけ、謝罪をすると堰を切った様に少女は涙をこぼした。
「お願い!光流は私の家族なの!」
置屋 しのぶ (おきや しのぶ)は人目も気にせずに、まるで光流の遺体を目の前にしたかのように泣いた。
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