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駅まで来ていたにも関わらず、泣きじゃくる置屋をまさか公共の乗り物に乗せる訳には行かない為、四人でタクシーに乗り合わせる。 見も知らぬ少女と狭い後部座席で密着するのも難かと、男三人が狭い車内に押し込まれたまま小一時間。 タクシーは閑静な住宅街へと入り込んだ。 似たような外観が建ち並ぶ更に奥、角を曲がってすぐに売約されるような土地物件とは一線を格す塀に囲まれた日本家屋がある。 その塀を幾ばくかの時間を要して通り過ぎ、少女の指示によりまるで城の様な洋風の建物の前でタクシーは止まる。 大分と時間を掛けたタクシーの料金は結構な値であったが、気にすることなく少女は一度車を降りた。 「お金を取ってきます」 姫は城の中へと消えていく。 「金持ち?」 「お前もだろ」 ぽかんと口を開けて問うカズシにジンはすかさず答える。 「ダメだよ、ウチの学費は武嶋のバアちゃん持ちだから。我が家は貧乏」 軽く答えたカズシが知っているだろうとばかりにジンを見やるとジンは両手を挙げて首を横に振り問われる前に答える。 「笠井グループは没落貴族だってば」 「川原医院はただの成金だぜ?」 二人の視線が集まる前に、吾大は言い放った。
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