正義

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目を覚ました時、『ああ、あれは悪夢だったんだ。何もかも』そう思うほど自然に、目を覚ました。 目の前にはゆっくりと流れる雲。 空は青から茜に変わる、丁度綺麗な薄紫。 目の端に映るのは見慣れた屋上のフェンス。ここは、学校だ。 「ッ…」 ゆっくりと息を吐き現実に浸ろうとしたその時、首の筋が痙攣するような痛みを覚えた。 痛ぇ…何だよ、 …まさか! おい! そんな事って… 指先で首筋を確かめると、指先には、半乾きの枯渇した黒…いや、元は赤だったものが着いていた。 「a-ha、映画みたい、ですね」 嫌にクリエイティブな笑い声が響いたが、続く言葉は日本語で、しかもいたく流暢だ。 「だってそうでしょう?目が覚めて、全てが夢だと現実逃避した矢先に…逃れられない事実に目を見張る!素晴らしい!excellent!」 自棄に癇に障る、ぺらぺらとよく喋る、声の高い男。痛む身体を制し睨み付ける為に上体を起こし視線を背後へ向ける。 視線の先には黒のアンダーシャツ姿、見覚えなど無かった。 だが今はそんな事はどうでも良い、重要なのは足下だ。 身長は180程度だろうか、黒くて長い髪の、特に前髪は頬までかかりそうだ。 手の施し様が無いほど短い俺からしてみたら、男のくせに気持ち悪い髪型。極めつけが黒縁の眼鏡。 ぱっと見はデカくてヒョロイ、無意味に体格に恵まれたガリ勉野郎、そんな所か。 アンダーシャツの裾はズボンにしまわれているが、ズボンの裾はまた、ブーツにしまわれていた。 まるで、軍服の上着を脱いだような…。 共通点は無いが、意識が途絶える前に見た…光流だと思っていた人物と同じブーツを履いている。
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