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「ッ、オイ!!光流、光流は!?」 教壇に立っていた教師目掛けて、所狭しと並ぶ机を薙ぎ倒しても気にせずにその背広の襟を掴んだ。 もの凄い剣幕、とはこの事か。自分でも分かるぐらいに取り乱していた。 「ヒッ…!わた、私は…知らない!何も!知らない…!」 それ以上に取り乱した教師はまるで薬でトリップしたかの様に喚き始めた。 ゆっくりと指先から力が抜けていく。 「先生、授業を進めて頂けませんか」 「ヒッ!」 一人の生徒が座ったまま意見した、特別進学科クラスから墜ちてきたガリ勉野郎だ。かなりの学力か、そこそこの頭に莫大な金を持っている人間しか入れない高校に於いて、後者は数えるほどしかいない。皆驚くほど他人に無関心なのか、睨み付けても効果は無い。 分厚い眼鏡のレンズ越しに、逆に睨まれた気すらした。 大袈裟な程に震えながら黒板に向かい吾大に背を向けた教師は、何か恐ろしい強大な物に震えているように見えた。
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