正義

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正義

「ハッ、ハァ、ッ」 薄暗い袋小路の手前で、三人は立ち止まった。 右に行くか、左に行くか。正面は行き止まりだった筈だ。 「別れよう。ジンは右、カズシは左、俺がアイツを引きつけるから…」 「でも、吾大!」 「…後ろを取れ!行け!」 二人をそれぞれ左右へと突き飛ばした。よろけながら走り去る二人の背を交互に見ながら叫んだ。 「そのまま逃げろ!!」 二人が戻ってこないこと、否、戻って来れないことを知っていたから。 あの化け物に出会した時、あの老婆の様な枯れた手に腕を掴まれ誰よりも恐怖したのはカズシ。 それを助けようと立ち向かい、肩を砕かれ青ざめた顔で此処まで走って来たのはジン。 二人には最早立ち向かうだけの戦意は無いだろう。 だって、相手はバケモンだぜ? 足下に転がっていた空き缶を拾う。 「畜生!!何なんだよテメェは!?」 化け物目掛け投げつけた。 俺はただ、ダチを探してただけなんだ!
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