2人が本棚に入れています
本棚に追加
8月某日。
今日も連日に続く猛暑だ。 気温の高さにうんざりしながらもいつものように誠一は仕事をしていた。
…とはいっても、任される仕事はほとんどが雑用ばかり。 脚立の上に乗り会社内のエアコン掃除を任されていたのだった。
【ガッシャ~ン】
誠一は脚立を踏み外し床に転落してしまったのだ。
「おいおい。誠一!お前は本当に何をやらせても駄目な奴だな」と会社の先輩が詰め寄る。
「ご…ごめんなさい。すぐに片付けます。」と反射的に誠一は謝った。
いつもこんな失敗ばかりで自分自身が情けなくなるばかりである。
(俺には何の取り柄も無いし才能もない。せめて一つだけでも輝ける何かを見つけたい)
誠一は、いつもそんな事を考えながら面白みのない日々を過ごしていたのだ。
だが、そんな誠一にも唯一、心の支えとなるものがあった。
それは、いつも優しい微笑みと言葉で励ましてくれる彼女の存在だった。
最初のコメントを投稿しよう!