出会い

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出会い

彼女との付き合いはまだ浅く付き合い始めて僅か一ヶ月ほどだ。 そもそも出会いのきっかけは幼なじみの直人からコンパに誘われたからだった。 誠一は今までコンパなどに誘われた事もなく困惑しつつも誘いを断れなかったのだ。 そしてコンパの当日、どうせ人数合わせのための誘いだろうと思いながらも誠一は少しドキドキしながらコンパに出席した。 待ち合わせ場所に着いてキョロキョロしていると少し遠くで直人が呼ぶ声が聞こえてきた。 「おぉ~い。誠一! こっちこっち。」直人は笑顔で手招きしている。 そこには直人以外は知らない男女が数人いた。 誠一は照れながら皆に「あっ!あのぉ~。初めまして。」と挨拶をしていると少し遠くの方から「遅れてごめんなさぁ~い」と慌てて駆け寄ってくる女性が現れた。 誠一が声のする方へ振り返ってみると、そこには笑顔がとても素敵な女性の姿があった。 これが彼女との初めての出会いだったのだ。 まずは皆で食事をする事になり、その場で自己紹介などをして初めて彼女の名前を知った。 彼女は伊吹(いぶき)という名前だ。 誠一は少し俯きながら彼女の名前だけを頭の中で巡らせていた。 すると直人が急に立ち上がり「さ~て。皆で今からカラオケにでも行こぉ~。」と元気よく叫んだ。 誠一は歌が上手い訳でもなかったので、直人に近寄り「俺…そろそろ帰るよ。」と呟いていると近くにいた彼女が「帰っちゃうの?もう少し楽しもうよ。」と言いながらニコッっと微笑んだ。 誠一はその笑顔を見ていると断れなくなった。 カラオケの部屋に着くと誠一は1番隅っこの席に座り皆の歌をただただ聞いていると彼女は隣の席に座り「何も歌わなくていいの?」と声をかけてくれた。 誠一は彼女に「俺は歌が上手い訳じゃないし…それに無理に俺に声をかけてくれなくてもいいよ。他のメンバーと盛り上がった方がきっと楽しいよ。」というと彼女は「君の事が気になるなぁ~。」と言い、微笑んだ。 誠一も少し笑顔になり気持ちが弾んだのだった。 コンパも終盤になり、誠一は勇気をだして彼女に「また会えるかな?」と聞くと「今度は二人でね」と彼女は微笑んでいた。 これが誠一と伊吹の付き合いの始まりだったのだ。
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