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僕たちはとりあえず1年の委員長室を片づけ始めた。ここ数年使われてないらしい。
この柳ヶ丘高校には、各学年の委員長というものが用意されている。
ただどこの部屋も物置になっていた。
「しかし、今まで誰が行事を仕切ってたんだか…。」
僕は物置と化した部屋を片づけながら、ふと思った。
「なんかね、行事がある時だけ先生が委員長呼び出して、とりあえず決めてもらってたみたい。」
戸倉さん…。掃除する姿も素敵です!!!
「あたしたちは、そうならないように、盛り上げようね!」
僕は頷くと、ひたすら掃除をした。
「あ…ねぇ!!大塚君。どうせここって誰も来ないし、好きなようにしちゃおうか!?」
「え??」
「鍵もかけられるし………。秘密基地みたいなものかな??」
秘密基地……。僕はちょっと吹き出してしまった。なんとも幼い彼女を可愛いと思った。
「うん。いいよ。」
「今子供っぽいって思ったでしょう?!」
戸倉さんは少しふくれていた。それがまた可愛いかった。
「いやいや。どうするの?」
「ん~。あっ!ちょっと待って!!」
彼女は部屋を出ていき、しばらくすると、
「大塚君~。」
僕は急いで声のする方へ走った。
「戸倉さん!?」
彼女がもっていこうとしていたのは、黒いソファーだった。
「これ!!運んで!!」
それから僕は彼女のいわれるがまま、いろいろな物を運んだ。
ソファー、テーブル、以前教師が使っていた電気ポット、カーテン、古い冷蔵庫、(なんでこんなものがあるんだ!?)
部屋を片づけ、家具を配置すると、家みたいだ。ただ…
「TVもあればいいのにね!!」
僕もそう思った。なんだか嬉しい気分になった。
こうして僕の高校の1日目が終わった。
明日への楽しみを残して。
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