高校1年生

8/9
前へ
/12ページ
次へ
僕たちはとりあえず1年の委員長室を片づけ始めた。ここ数年使われてないらしい。 この柳ヶ丘高校には、各学年の委員長というものが用意されている。 ただどこの部屋も物置になっていた。 「しかし、今まで誰が行事を仕切ってたんだか…。」 僕は物置と化した部屋を片づけながら、ふと思った。 「なんかね、行事がある時だけ先生が委員長呼び出して、とりあえず決めてもらってたみたい。」 戸倉さん…。掃除する姿も素敵です!!! 「あたしたちは、そうならないように、盛り上げようね!」 僕は頷くと、ひたすら掃除をした。 「あ…ねぇ!!大塚君。どうせここって誰も来ないし、好きなようにしちゃおうか!?」 「え??」 「鍵もかけられるし………。秘密基地みたいなものかな??」 秘密基地……。僕はちょっと吹き出してしまった。なんとも幼い彼女を可愛いと思った。 「うん。いいよ。」 「今子供っぽいって思ったでしょう?!」 戸倉さんは少しふくれていた。それがまた可愛いかった。 「いやいや。どうするの?」 「ん~。あっ!ちょっと待って!!」 彼女は部屋を出ていき、しばらくすると、 「大塚君~。」 僕は急いで声のする方へ走った。 「戸倉さん!?」 彼女がもっていこうとしていたのは、黒いソファーだった。 「これ!!運んで!!」 それから僕は彼女のいわれるがまま、いろいろな物を運んだ。 ソファー、テーブル、以前教師が使っていた電気ポット、カーテン、古い冷蔵庫、(なんでこんなものがあるんだ!?) 部屋を片づけ、家具を配置すると、家みたいだ。ただ… 「TVもあればいいのにね!!」 僕もそう思った。なんだか嬉しい気分になった。 こうして僕の高校の1日目が終わった。 明日への楽しみを残して。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加