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私立柳ヶ丘高校。
地元では名の知れた有名私立高校だ。
もちろん偏差値だってかなり高い。
僕なんかの頭では入ることは不可能な高校だ。
ようするに、僕は記念受験をした。
受からないことは分かっていたし、受かろうとも思わなかった。(いや…こんな事言ったら真剣に受験している人に失礼か………。)
親もたいして期待もしていなかった。
「母さん!合格発表に行ってくるから!!」
「いいわよぉ!どうせ期待してないから!」
親の言葉とは思えない…………。
うちは放任主義だ…放任しすぎて悲しくなるときもある。
柳ヶ丘高校までは徒歩圏内だ。
15分位かな?
受かってれば、ラッキーだな!
位でいた。
「は………?」
張り出された合格番号を見て、僕は絶句した。
「1192……。」
受験番号と張り出された合格番号を見合わせる。
「ある」
「マジかよ!!」
受験番号が良かったのか!?
1192つくろう鎌倉幕府……なんちゃって…。
すぐさま自宅に電話をする。合格を伝えると母は電話を切り、合格発表には似つかわない格好で自転車をこいで、駆けつけた。
「か…母さん。」
「あんた!受験番号間違ってんじゃないの!?」
母は僕の受験番号を奪い去り何度も確かめた。
「あ…る。」
「ちょっと!あんた!!あるわよ!」
分かってるよ。僕だって何回も見直したんだから!
「受験番号が良かったんじゃない?1192つくろう鎌倉幕府?なんちゃって!!あはははぁ!」
思いたくない…だが…お……親子だ。
僕たちは間違いなく親子だと言うことを、自分の合格よりも深く確認した。
母は喜んでいた。
なんだか、僕も嬉しかった。
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