高校1年生

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入学式は長い校長の話に始まり、PTA会長、生徒会長、と話ばかりが長かった。 眠くなりそうな事ばかり話してるし……。嫌になってくる。 校歌斉唱?わかんねえし。とりあえず口パクで歌ってるマネだけはしてみた。なんとも自分が滑稽に感じた。 一通りの話が終わると、新入生代表の挨拶があった。僕はどうせ、ガリ勉の奴が堅苦しく話すものだと、少しウトウトしていた。 「新入生代表、戸倉紗弥加」 ん??女? 僕はウトウトしている目をこすり、壇上に上がる一人の女の子に目をやった。 ⁉⁉ 衝撃的だった。そこにいたのは、ガリ勉でブサイクでもなく、デブでもなく、可愛い子だった。 「マジかよ…可愛いじゃん」 「新入生代表、戸倉紗弥加。……………………。」 話の内容はやはり堅苦しく、用意されたもののように感じた。だが、僕は彼女の凛とした姿に釘付けになっていた。 最後まで読み終わると、彼女は代表挨拶の原稿をたたみ、校長へ手渡した。そして、「最高の高校生活にしたいと思います‼‼」 と一言付け加えた。それは原稿通りの言葉ではなく、彼女の本心を話したかのように、原稿の言葉よりも、深く心に残っていた。 僕はぼんやりと彼女の後ろ姿を眺めていた。 同じクラスだったらいいなぁ。淡い期待だった。 入学式が終わり、クラスを確認しに行った。1組…ない。2組…ない。3組…ない。4組…あった‼戸倉紗弥加‼ え~と、大塚俊は……と………ない‼ 「俊‼あんた8組に名前あったわよ‼」 母親が遠くから、僕を呼んだ。愕然とした。 仕方ない。こればかりは…。 とりあえず僕は8組に入っていった。 入る間際、4組に入る戸倉紗弥加を見つけた。 その横顔はキレイだった。
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