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「そうですか。ご協力感謝します!」
「いえいえ」
警察は手配書を渡して去っていった。
「絶対…そうだよな」
何度見返しても間違いなかった。
まだこの近くにいるかもしれない…。
俺の行動を見張ってるかもしれない…。
そう考えると「見ました」とは言えなかった。
もし先に手配書が回ってきて、俺が犯人の顔を知っていたら…
動揺した俺に気づいた犯人が何をしてくるかわからない。
そう考えると震えが起きた。
俺はまたコーヒーをぐびりと飲む。
さしずめ口止め料と言ったところか。
「おはようございまーす」
交代の奴が来た。
「遅せーよ」
「?」
昼勤のバイトが機嫌の悪い俺に、不思議そうな顔をしてレジに入る。
やっと帰れる。
オッサンが行った後、追い掛けるように犯人が出て行った事が気になるが…
深く考えないようにしよう。
俺はコーヒーの残りをぐいっと飲み干した。
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