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しかしある日、フランソワーズが奇妙に思った。フローが最近、外に出たいなどと言わなくなったことを。
もちろん、彼女はフローが自分の寝ている間に外に出ているのだと、すぐに気付いた。
そして次の日、彼女は早く起き、フローが外に出て行くかを窓から見張った。
風呂場の窓は西側だが、門は北側にある。フランソワーズの部屋の真下だった。
怒りを感じたフランソワーズは、その日も私の壁にそれをぶつけた。張ってあったポスターもびりびりに引き裂いた。
そして昼食の時に、彼女はフローを叱った。殴り、蹴り、虐待に虐待を重ねた。
私の中に、にぶい音が響き渡る。小さな体は何度も壁や柱、床にぶつけられていた。
逃げるように、フローは廊下に飛び出した。ばたばたと音を立てて廊下を駆け抜け、玄関の鍵を必死に開ける。
手は震えていて時間がかかったが、なんとかフランソワーズに捕まる前に扉を開けること出来た。
扉を閉めもせず、泣きながら門を開ける。ウィリアムの名前を何度も呼んでいた。
そして門から外へ飛び出たフローの目に飛び込んできたのは、一面の赤だった。
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