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また同じ夢を見た。朝起きた景色は毎日変わらないのに、繰り返し見る夢は今の自分を映していた。
「また同じ夢か…。」
最後に付き合った彼女とは3年前に別れ、実家には4年帰ってない。
彼の名前は大沢 裕也。年は25歳。職業は無職。現在はパチスロの収支で生計を立てている。
「やべっ!早くしね~と開店しちまう。」
いつもと変わらない朝、いつもと変わらない電車の車内、いつもと変わらない店、いつもと変わらない常連の顔触れ。
「お~っす、裕也!今日も早いね!!」
「おめ~がいつもおせぇんだよ、バカ。」
いつも通りの今日初めての笑み。この店に通い初めて顔なじみになった和弘との会話の後すぐに
「お待たせしました!只今より開店いたします!」
「おっし!!今日こそバカ勝ちすんぞ!」
和弘とは店で会って話すだけ。友達と言うよりは知り合い程度の付き合いだ。それでも裕也にとっては数少ない『話し相手』なのだ。―俺はスロット打ってる時だけ集中出来る。嫌な事も全部忘れられる。俺には何もない…、真っ白だから。―
「あ~ぁ、今日もダメだったよ、わり~俺帰るは!」
そう言うと和弘は苦笑いしながら足早に帰っていった。
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