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―今日はもうやめとくか、なんか気分も乗ってこないし。―
換金して37,000円のプラス、喜びの感情よりも帰る怠さや空腹感が勝り、機械的に歩きだした。
―俺には何もない。話し相手も上っ面だけ、誰も本当の俺を分かってくれない…。誰も俺なんか好きになってくれない…―
「…や。」
「…ゆうや。」
「裕也!」
「おい!裕也!」
ふっと我に返り怒りにも似た声で振り向いた。
「なんだよ、裕也、久しぶりじゃん。俺だよ、正人だよ。」
ふっと懐かしい光景が目に飛び込んできた、あの頃一緒に笑って一緒に悩んだ『友達』がいた。
「お、お前…正人…か?」
「お~、そうだって言ってんじゃん。ハハ、なんだよ、お前も上京してきてたのかよ、つか久々じゃね?」
そこには昔と変わらない無邪気な笑顔があった。
「お、おお、ま~な!」
―俺は今どんな顔して正人と話してんだろう、変わらないこいつに対して俺は…―
「つかお前ケータイ変えたんなら教えろよ、同窓会も全然こねーし今何してんの?」
―正人は昔と変わらず笑顔で俺の中に入ってくる…、けど今の俺には踏み込んでほしくない。―
「裕也?どした?なんかあった??」
「わり~けど別にお前に話す事なんてねーよ!うぜ~んだよ!」
自分でも驚くほど大きな声が出た。叫びにも似た声は久々だった、感情が高ぶったのも…『人間』として感情は忘れるほど長い間人前に見せる事はなかったのに…。
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