疑問

15/18
前へ
/190ページ
次へ
「でもね」 と、雪は言葉を区切り、真面目な顔で俺を見つめる。……いや、雪は至っていつでも真面目な顔をしているんだが……、特にだ。 「『アレ』は危険だよ。僕にはわかる」 「『アレ』……って、サンのことか?」 雪は力強く頷いた。朝食を準備しに行ってくれた朱理、武琉、達馬、時兎の4人がいない部屋の中。まだ幼さの残る雪の甘い声だけがリアルに俺の耳に入る。 「『アレ』は危険。僕の本能が告げてくるんだ……。『アレ』は恐ろしいものを秘めている気がする……」 「……」 「気を抜かないで。このログハウスを抜けるまで……、ううん。これからも……、このゲームが続く限りずっと」 雪の言葉に俺は酷く動揺した。あれだけ冷静沈着な雪ですら、あのサンを畏怖しているのだ……。其処までさせるサンはいったい何者なのだろうか……。 ……正直、怖い。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

297人が本棚に入れています
本棚に追加