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「……ふむ。余り信じたくはありませぬが、今は奴を信じて従うしかなさそうよのぅ」
「同意」
辺りが悲鳴やパニックでざわめく中、……そう。例えるなら鈴の音のような清らかな声が僕の耳に入った。
声のしたと思われる方向には、長い黒髪を1つに結わえている巫女さんがいた。
巫女さんはまるで日本人形のように綺麗だった。ぷっくりと熟れた唇、すっと通った鼻筋。意志の強そうな琥珀の瞳……。
そして、その隣にいたのは眼鏡を掛けた女の子。さっき巫女さんの言葉に同意したのも彼女だと思う。
虚ろなエメラルドの瞳に2つに結ばれている黄緑色の髪。此方も巫女さんと見劣りしないくらい美人さんだと思われるよ……。
『ふふふ、その通り。君たちに拒否権はない。……あぁ、君たちはさっきのゴミの安否が知りたいようだね』
“それ”も僕と同じく巫女さんと眼鏡さんの言葉を聞き取っていたらしく、ニヤリと笑って言った。……さっき消えた人をゴミ扱いだなんて……酷すぎるよ……っ。
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