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『それからぁー……。あ、忘れる所だった!』
“それ”はそう言って暢気に手をポンッと叩いた。それとは逆に周りの参加者達はピリピリと殺気立っていて、“それ”の話が早く終わるように思っているかのようだ。
しかし、そんな彼らの事など眼中にないかのように“それ”は続ける。
『このゲームには“シード枠”を設けてあるんだ』
……“シード枠”? いったい何のことだろう?
『このゲームの参加者の中で、更に抽選で選んだ5名を“シード枠”として登録してある。“シード枠”に選ばれた参加者達はゲームのルールをこの場で聞いてない。基本的な部分をメールで送っただけなんだ』
……それは、かなり不利じゃないかな……。“シード枠”の人にとっても、その人とパートナーになった人も……。
ルールだって、こんな雰囲気の中で聞いた全てをその人に伝えることは難しいと思うし……。メールの文面では些か信じがたいと思う。
僕だって、細かいことは伝えられる自信はない。
『でも、その代わり利点が1つだけあるんだよね。その“シード枠”の人だけは【能力が2つある】んだ』
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