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雪の言葉が終わった部屋には静けさだけが残った。
無機質なベッドに昨日の吹雪とは打って変わった眩しい朝日の光が当たる。
「……ねぇ、青空君」
「え、あ……。何だ?」
暫くいろいろ考えていた俺に、雪が改めて話し掛けてきた。
「青空君はまだ、2つ目の能力はないんだよね?」
「あぁ……」
「それで、2つ目の能力の存在すら知らなかったんだよね……」
「そうだ。メールにも何も書いてなかったし、朱理も何も言ってなかったからな」
そう。俺は自分がシード枠ってことすら知らなかったんだから無理はないだろう?
「……そっか」
「だが、能力が2つって言うのは強いな。……ありがとな、雪。いろいろ教えてくれて」
お礼を言うと雪は一瞬ポカンとしたあとで、とびっきりの笑顔を見せてくれた。
眼帯のせいで片目しか見えなかったが、綺麗な笑顔だった。
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