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俺がそんなことを考えている間にも狼は低い唸り声を挙げ、鋭い眼光を向けてくる。衝動的に俺は走り出した。
「……っ、クソ……ッ!」
『グルル……!』
走り出したからにはもう止まれない。後ろにはモンスター……。“この世界で殺されたら現実世界でも死ぬ”……。
冗談だと思う……けど、こんな初っぱなから負けるなんて絶対嫌だ!
これはただの意地だったのかもしれない……。
しかし、普通に走ったって相手は狼のモンスター。人間の俺が勝てる訳もなく、先回りされ、行く手を塞がれてしまったのだ。
「……っ、しまった……!」
冷や汗が流れるのを背に感じる。身体全体が危険信号を出している。狼は1歩ずつ間合いを詰めてくる。
「ハァ……ハッ……」
呼吸が荒くなる。
嫌だ……、まだ……こんなところでゲームオーバーにはなりたくねぇ……!
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