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「っ、雪ちゃんお願い!!」
「任せて」
ブルーウルフを粗方出し終えた朱理は雪に向かって声をあげた。雪は一言そう言うと、ゆっくりと右目の眼帯に手をかけた。
その瞬間。
凄まじい殺気に襲われて思わず武琉以外の皆は一斉に雪を振り返った。そこに悠然として立っていたのは……、
「オッドアイ……?」
左右の瞳の色が違う、雪の姿。左目はその髪と同じ金に輝き、眼帯によって隠されていた右目は怪しく輝く紅色だった……。その姿に、思わず鳥肌が立った。
殺気を感じ取ったのは俺達人間だけではなかったようで、見ればブルーウルフ達は1匹残らず雪を見ていた。
そして、雪は俺達に目を合わせる事なくただジッとブルーウルフ達を余すとこなく見詰めている。時間にして、僅か数秒。
一瞬動きを止めただけで、モンスターの中で唯一雪を見ていなかった光陽鳥が俺達に攻撃を再開し始めた。
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