297人が本棚に入れています
本棚に追加
「……行け」
小さな声で、しかし聞こえるようにハッキリと雪は何かに命令した。次の瞬間!
雪の目の前にいたブルーウルフ達はクルリと向きを変えて一斉に光陽鳥に飛びかかって行ったのだ。
光陽鳥の足に噛みついたり、雪山を了解して跳躍し翼を、長く煌めく尾を、強靭な体を標的として攻撃を仕掛けていく。
周りに俺達がいるのにも関わらず、だ。
雪は何事もなかったかのようにまた右目に眼帯をつけてブルーウルフ達の動きを見ている。
凍てつくような風に、コートと共に金の髪を遊ばせながら何かを考えるかのように。
呼び出した朱理の言うことは聞かないが、絶対服従の力を持つ雪に逆らわないブルーウルフ達。
それはそれで不思議な光景だが、今はそれどころではない。
取り敢えず俺も光陽鳥を倒す作業に没頭する。頭を狙って銃を構え、空気を圧縮させて引き金を何度も引く。
最初のコメントを投稿しよう!